黒崎真音は最高アニソンシンガー

最後に真音ちゃんの生歌唱を聴いたのはいつだっただろうか。
記録を辿ってみたら2018年初夏のNBCUniversal ANIME×MUSIC FESTIVAL~AFTER PARTY~だった。
そこから5年弱が経ってしまっていることに時の流れの速さを感じる。

あのとき彼女は「真音ガールズ」を結成して、「MY WINGSを現場で聴く」というぼくの10年越しの夢を叶えてくれた。
だから黒崎真音はぼくにとっての最高アニソンシンガーだ。



ぼく自身は「彼女の熱心なファン」というほどではなくて、現にワンマンライブには結局2度しか行かなかったのだけれど、I've Soundの、そしてアニソン・ゲーソンのヲタクとして、アニソンフェスや対バン、ゲスト出演などで合計20回以上彼女のステージを観ることが出来た。
真音ちゃんがプライマリ、というファンの方には到底かなわないが、10年近く前の記録がもうあまりネットの海にも残っていないこともあって、当時の自分の記憶をきちんと記録として残しておきたいと思ってキーボードを叩くことにした。


最初に真音ちゃんのステージを観たのはANIMAX MUSIX FALL 2010
井内さん*1が作曲したMagic∞worldを歌っていた。1stシングルだ。
この頃のぼくはまだ純真無垢なヲタクだった*2ので、ライブにはペンライトを準備して、フェスなら誰のときは何色を点けるというのをチェックしていたものだ。
彼女の色は紫だった。


2011年にはアニサマALTIMAの結成を見届けるも、当時は「シャナの主題歌なのにKOTOKOかまみさん*3じゃないんかい!!」と思っていた記憶がある。
でもデジタル・テクノ・トランス系の音楽は好きで、fripSideもnao時代の終盤から追いかけているから普通に高まったし、ジャンルの異なる本人名義の楽曲も良曲揃いで本当に聴いて楽しんでいた。
今振り返って聴いてもI've楽曲に限らず本当に曲が良い。


彼女を語る上で、個人的には2つの軸があって、そのうちの1つがI'veとの関わりである。
気が付けばぼくがI've Soundを追いかけ始めてから17~18年の歳月が経とうとしているのだが、そのうち12年を真音ちゃんが彩ってくれていたことになる。
彼女が「I've所属のボーカリスト」だったことは1度も無いのだが、I'veの楽曲を歌い、度々I've関連のイベントに出てくれていた彼女は間違いなくI'veファミリーのひとりである。


1st・2ndシングルとI'veクリエイターの楽曲提供を受けていたが、自分の中で上記のような印象に変わり始めるきっかけになったのは、おそらく2012年の“ASCII MEDIA WORKS 20th Anniversary DENGEKI MUSIC LIVE!!” BATTLE STAGEだと思う。
灼眼のシャナの劇場版の主題歌「天壌を翔る者たち」を歌っていたユニット「Love Planet Five」は、もともとI've所属の歌姫5人(KOTOKO川田まみMELL島みやえい子詩月カオリ)のユニットなのだが、このライブにはそのうちKOTOKO川田まみしか参加していなかったため、残りをRay、南條愛乃、そして黒崎真音が担当してくれた。
えい子先生は既にI'veを卒業し、MELL姉さんは体調不良という中、彼女たちがI've楽曲を歌い継いでくれたことで、もう聴けないと思っていた「天壌を翔る者たち」を再び聴くことが出来て、感泣したのを覚えている。


そして翌2013年には「X-encounter」がリリース。これまでI'veからは井内さん、中沢さん*4が曲を提供していたが、ここで満を持して代表の高瀬さん*5登場。
高瀬さんの曲も真音ちゃんの歌声も素晴らしいものが上がってきたと思った。そしてここから真音ちゃんのI've Soundとの関わりがより深くなっていったように思われる。
ちょうどこの曲が出た頃から、クラブイベントとアニソンライブの融合が起こってきた時期で、DJ形式での歌唱にX-encounterバチバチにハマっていた。巡り合わせとかタイミングもバッチリだったように思う。
I've関連でおなじみのクラブと言えば秋葉原MOGRAなのだが、真音ちゃんの出自でもあるディアステージの傘下でもあった*6MOGRAのフロア後方壁面には、誇らしげに彼女の新譜のポスターが貼ってあったのを覚えている。


2014年、ニコニコ超会議内の超音楽祭、これはすごかった。
「I've Special Unit」と称してI'veのクリエイター陣やボーカリストが集結してDJ形式のライブをしてくれたのだが、この日はI'veのメインボーカリストの1人だったKOTOKOが不在。
何をするのかと思いきや、主要メンバーが欠けている分をゲストボーカリストとして出演した真音ちゃんやRayたそがアニソンからゲーソンまでカバーして、歌えや踊れやの大騒ぎ。ぼくも脱水症状を起こしかけるくらいの熱量で、この日のMVPは間違いなく真音ちゃんだった。
このイベントは結局I've15周年イベントの前哨戦で、本番のI've15周年ライブは基本的に「I'veに所属する(した)ボーカリスト」の参加だったため彼女の出演は無かったが、この前哨戦ライブでの活躍は一生語り継いでいきたい。欲を言えばこの前哨戦の方も映像化して欲しい。

このときに制作されていた彼女のアルバム「REINCARNATION」は、3rdアルバムであるとともに10曲すべてがI've Soundという最強にして最高のアルバム。
Trying! Trying!という曲が一番好きなのだが、終ぞ現場で聴くことが叶わなかったのは現世での心残り。


その後のI'veとの関わりは2016年のまみさん引退ライブだろうか。
もちろんゲストで出てくれていて、まみさんとのデュエット曲を歌ったり、そしてまた「天壌を翔る者たち」を歌ってくれたり。
まみさんとは公私ともに関係が深かったとのことで、そのおかげでぼくらも彼女のパフォーマンスをたくさん見られたのだろう。


直近では2019年にリリースされたアルバム「Beloved One」の特典ディスクに収録された「とある魔術の精霊讃歌(アルトルムフィア)」が印象的。
禁書目録シリーズの主題歌たちをDJ Mixにして、「PSI-missing」や「No buts!」、「See visionS」といったI've楽曲を新たに真音ちゃんが歌う音源で、1トラック25分半の超大作になっている。
これを聴いたとき、まみさんが引退しても真音ちゃんがこれからも歌い継いでくれる、と喜んだものだ。



ぼくが真音ちゃんを語るもう1つの軸は、楽曲カバーである。
彼女はぼくと世代が近いこともあって、彼女がカバーする曲はデビュー当時からかなり自分に刺さることが多かった。
特にぶっ刺さった曲は今でもよく覚えているので、いくつか紹介したい。


まず2013年3月のリスアニ!CIRCUIT Vol.03 Digital CommunicationsALTIMAとしてカバーしたGumble Rumble。
このときは直前に解散したばかりのm.o.v.eの楽曲というのもそうなのだが、個人的に初めて行った大型アニソンフェスのアニサマ2008に思い入れが強く、そこで演奏されていた曲だからというのも大きい。


次に挙げるのは、先述の超音楽祭2014で披露した「Mighty Heart ~ある日のケンカ、いつもの恋心~」。
真音ちゃんといえばカッコイイ曲が多いイメージだったが、こんな曲もしっかりかわいらしく歌っていた。こりゃスゴイと思ったし、今から考えたらそりゃ舞台でも活躍できるなと思う表現力だった。


2015年にはfripSide横浜アリーナ公演にシークレットでALTIMAとして登場して、fripSIde1期時代の曲「the chaostic wolrd」と「before dawn daybreak」をカバー。
当時は客席内でも知名度が高くないように思われたこの2曲を、シークレットで出てきた彼女がぶち上げるのはもう本当にすごかった。
もともとfripSide1期の曲は知っていたので、このときのぼくはもうおかしなテンションになっていた。
映像で振り返れるものとしてはこれがぼくの中では彼女のカバーのベストアクトだと思っているし、今でも時々映像を見返している。


そして2018年、NBCUniversal ANIME×MUSIC FESTIVALで演ってくれた真音ガールズ*7
曲はGumble Rumbleと同じく2008年のアニサマで歌唱されていたOver The Future。要は可憐Girl’sのカバーなのだが、これがフォーメーションも衣装もよく再現できていた。
カバーするにもただ歌うだけじゃなくて、こうした要素を入れ込んでくれた彼女たちのパフォーマンスにめちゃくちゃ高まった。

そしてその真音ガールズがもう1度パフォーマンスすると聞いて参加したのが、最初に紹介したNBCUniversal ANIME×MUSIC FESTIVAL~AFTER PARTY~。
可憐Girl’sが現役だった当時でも自分が聴くことの出来なかった「MY WINGS」がワンチャン聴けるんじゃないかと思って行ったライブで本当にやってくれた。
こんな言い方するのもどうかと思うが、ヲタクとして信頼のおけるアニソンシンガーだった。伊達に「ヲ嬢」って呼ばれてない。

そしてこのライブのトリはALTIMAで、結果的にはALTIMAの最後のステージになった。





正直今でも信じられない気持ちがありますが、
ひとつ声を大にして言いたいのは彼女への感謝の言葉です。
ぼくは黒崎真音さんの歌で本当にたくさん心を動かされ、昂られ、そして楽しむことができました。
本当に、ありがとうございました。



そして改めて、ご冥福をお祈りいたします。


ぼくらが現世を離れたときには、あの頃連番してたヲタクたちとまた現場で真音ちゃんの曲が聴きたいね。楽しみにしています。

*1:当時I've所属の井内舞子

*2:今では「光り物を準備したり色を変える暇があったら音を感じろ」と思って光り物は持たなくなってしまった

*3:川田まみ

*4:中沢伴行

*5:高瀬一矢

*6:現在は株式会社モグラとして独立している

*7:メンバーは黒崎真音KOTOKO南條愛乃